DOLL
ぼくは邪魔者,汚ない物,誰もぼくを必要としない。

存在価値のないものなんだ。

ニンゲンハザンコク…―。

人間なんて信じない…。

捨てられて,もう何時間たったのだろうか。

ぼくからチラッと見える壁にかけてある時計の針は8時を過ぎていた。

きっと外は真っ暗だ。

いつぼくは燃やされるんだろう。

そんな事を考えていたら勢いよく扉の開く音がした。

ぼくからは天井とかすかに上の壁が見えるくらいだから,誰が入って来たのか分からない。

だけど,声で分かった。

「ねぇ!ボタンは!?」

ヒマワリ…―?

向日葵はぼくを迎えに来たんだ。

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