DOLL
存在価値のないぼくを…。

「えっ…ボタンって?」

「ぬいぐるみ!うさちゃんのぬいぐるみ!!」

向日葵が必死なのが声でわかる。

「えっ,あぁ。まだ出来てないの。」

施設の人が焦っているのも声で分かる。

「うそだ!うそついてる時目がうようよしてるもん!!どいて!!」

向日葵がこっちに向かってくる。

「ちょっ…向日葵ちゃん!!」

ぼくを見つけて笑顔になる向日葵。

「ボタン!!」

そしてぼくを優しく抱き上げる。

「ねぇ,治すよ…自分で治すから…。貸して。」

子供とは思えない目つきで施設の人を睨む向日葵。

そんな向日葵にどうせ何も出来ないと言う目で見ながら裁縫セットを渡す。

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