チェンジ!


‥‥俺だって美保のことが、好きだ。



だけど。



‥‥分かるんだ。
美保の幸せを願わなきゃいけないって。



美保が幸せならそれでいい、なんて
そんな大人な男にはまだなれないけど。


‥‥それでも、
俺は美保の幸せを願っていたいって思うんだ。



「じゃあ、またな!」



リョウ達に手を振ってから、
家に向かって、自転車を乱暴にこぎ進める。


‥‥行きとは違い俺一人しか乗せていない自転車は悲しいほど軽くて、
からからから、と夏の夜道を走っていった。





「あーーーー‥‥。」
ほとんどため息に近い
声を出してみる。


‥‥何かいま俺、
めちゃめちゃ泣きたい気分。







けど泣かねえ。



いま泣いたら
俺、よけいむなしくなりそうだから。




だってさっきのナオト


ムカつくけど。
くやしいけど。
認めたくないけど。



‥‥何か
めちゃめちゃ
かっこよかったんだよ。





吹っ切れてて
迷いがなくて
勇気があって
男らしかった。





俺なんて
迷いだらけだ。

いくじなしだしさ。


< 175 / 296 >

この作品をシェア

pagetop