チェンジ!



「うわぁぁぁーーー!!!」



俺とリョウはケラケラ笑いながら、
ブレーキ無しで坂を一気に下っていった。




「ちょっとぉ!!
転ばないでよっ!?怖いよー!」



そう言って美保は、
シャツをつかんでいた手をぱっと離し、

前に手を回して俺にしがみついた。



「転ばねぇよ!
大丈夫、大丈夫!」

俺は言った。


‥‥でも
まぁ実際、違う意味で俺は全然『大丈夫』なんかじゃなかった。


俺の背中にしがみつく美保が
可愛くていとおしくてたまらなかったから‥‥

俺の胸の奥は、きゅっと締めつけられたよ。



「‥‥到着ー!」

一気に坂を下った先は、もう海岸だった。
砂浜があって、広い海が広がっている。

あたりは静かで、俺達の声と波の音だけが響いていた。






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