近距離ロマンス
あたしは松本一筋で。
ちゃんと恋をしてる。ちゃんと恋をしてた。
「あの、さ…。もし、よかったら、なんだけど……」
「ん?」
ごにょごにょと話すノリくんを見て、首をかしげる。
あまりにも聞こえないので、言葉を必死に拾おうと思う。
「だから、咲良ちゃんに俺…」
「あ、梅澤」
松本がノリくんの言葉にかぶせて、あたしの名前を呼んだ。
ノリくんの声の音量より松本のマイクの音量が勝利した。
「なに?」
「今昂汰からメール入ってさ。今日委員会だったらしいよ。先生カンカンだって」
「え、やば!」
あたしは勢いよく立ち上がった。
だって、あの先生怒るとこわいんだもん。