近距離ロマンス
松本のスピードに合わせて、靴をふみつぶすように急いで脱いだ。
松本はあたしに気をつかってはくれず、スタスタと歩いて松本にとって使い勝手のいいドアを開けた。
そこはリビングで、テレビとかソファとかその他もろもろが置いてある。
ひじょうに生活感いっぱいのスペースだ。
「…、やっぱ、俺ん部屋」
そう呟いてドアを開けて階段を上る。
松本が一言口を開いたので、話しかけても無視されないと声をかけてみた。
「ま、待って松本!」
止まってはくれない。
やっぱりシカト?口を開くんじゃなかったなんて、思いながら。