近距離ロマンス
その喫茶店は穴場だし、顔を覚えられるくらい行っていて、『いつもの』で注文も通じる。
今日もいつものカプチーノとケーキセットを頼んで、あたしたちは一息ついた。
「咲良、松本になにもされてないよね?だいじょうぶだよね?」
「や、ぜんぜん…。てゆーか、なんで松本あんなに元気ないの?だいじょうぶなの?」
「咲良の鈍感…」
「鈍感もなにも、証拠なんて1つもないし」
「……」
由宇ちゃんはふぅっとため息をついた。
カプチーノのゆげがため息で揺れた。
「松本が、なんであんなことしようとしたか、わかるでしょ!」
「…、なぐさめてほしいってでしょ」