近距離ロマンス
あたしは、あんぐりと口を開いたままだ。
昂汰くんもこんな甘いせりふ吐けるひとだったんだ…。
「じゃぁさじゃぁさ! 千里と梅澤はっ!?」
「…はっ?」
数秒おくれてあたしが反応して、となりに並んで小突き始める、クラスメイトB。
ちなみに、男。
「な、なんであたしにっ」
「だって、4人の中の2人が付き合い始めたんだよ? じゃあ、あとの2人は?ってなるじゃん」
じり、と後退すると、同じようにBも近づく。
Bよ、もういい加減あきらめてくれたまえよ!
教室のドアにあたしの背中がついても、Bはあきらめてくれなかった。
―――偶然っていうのは、なんなんだろう。