近距離ロマンス
昂汰くんは机にひじをつけて、今にも眠ってしまいそう。
疲れているんだ、って見ただけでわかる。
「ま、朝練は今日でおしまい。明日が大会だからね」
「がんばってね」
「あたしら応援行くし!!」
あたしたちのはるか前の席から、手を挙げて自己アピールするのは、由宇ちゃんだ。
話が聞こえたのか、聞いていたのか、あたしが『がんばってね』の一言で片付けた明日の大会を掘り返しやがった。
「は?」
「いいじゃんー。行こうよ★」
「一人で行けばいいじゃん」
「どうせ暇でしょー。いいじゃない。松本も来るし」
「…行くなんて言ってませんけど」
松本は、あたしの後ろでつぶやいた。