近距離ロマンス
***
教室に戻れば、変な空気が俺に突き刺さった。
じと~、とやっぱり由宇と昂汰の視線が1番痛いところだ。
そんで梅澤がなぜかいない。
あえて俺は気づかないふりをして、イスに座った。
「……」
嗚呼。こいつらカップルの視線が1番うざい…。
「なに、」
「なに、って! 咲良いないことに気づかなかったわけ!?」
「気づいたけど」
「気にならないの」
「便所とかだろ」
由宇はんも~!とか地団駄を踏んだ。
由宇さんご立腹。
昂汰はいつものように傍観で、微妙に微笑んでいて…
その微笑が、馬鹿にしたような笑いに見えるのは気のせいか?
「とりあえず、咲良は風に吹かれてるらしいから、さがしてらっしゃい!」
「恋愛はタイミングだよね」
いきなり口をはさんできた昂汰にそう言われて、むかついた。
でもなにかあったのだ。
この教室で、なにか梅澤に関わることが。