近距離ロマンス
「だって…。『付き合おう』とか言われたわけじゃないし、すきって言われたのでさえ、夢うつつだし…」
「うん」
「思い返せばあたし泣いてたし……。今日の朝だって、宣言してくれなくて、告白されちゃってるし」
「うん…」
「だ、だからって、どうってことはないんだけど!」
自分だけ気にしているような気がして、あたしは慌てて否定した。
恥ずかしい…。
「ばーか」
「っ?」
拘束されていた片手を離して、あたしの頬をはさむ。
はさまれたことによって、溜まっていた涙がこぼれ落ちた。
松本は、ちゅッと軽く音をたてて、あたしのつぶれた唇にキスをした。
「弱ってたとか、関係なしに、俺はすきだったよ。てか、すきだよ」
ときめくような笑顔、バカなほどモテるあの顔が近くに来て、あたしたちはまた顔をくっつけた。
『ずっとすきだよ』
あたしも松本にお返しで言ってやると、松本は顔を真っ赤にしてた。