近距離ロマンス
でもそんな声は由宇ちゃんに届いているはずがない。
「昂汰くんの短パン姿、みんなで見に行くからネッ」
由宇ちゃんは、昂汰くんにウィンクを飛ばして、得意のかわいい笑顔で席についた。
テンションハイな由宇ちゃんは、自分の短パン姿を想像して悲しんでいる昂汰くんのようすには、気づいていないようだった。
***
「何、アイツ。誘っといて遅刻かよ…」
「いいじゃん。別に」
約束の10時をはるかに上回って、もう11時になろうとしていた。
集合場所で待つのもなんだし、とあたしたちは近くのカフェで由宇ちゃんを待っている。
「昂汰の出番は13時だろ。大丈夫なのかよ」
「なんとかなるっしょ」
あたしは携帯を見ながら気長に待つつもりだ。
松本は、頼んだジュースのすでに半分を飲み終わっており、ほどんどが氷というところだ。
「マジでアイツまだなわけ…。梅澤はなんとも思わないわけ?」
「…松本ってさー…」
あ?と松本は視線を送ってきた。