近距離ロマンス


でもそんな声は由宇ちゃんに届いているはずがない。



「昂汰くんの短パン姿、みんなで見に行くからネッ」



由宇ちゃんは、昂汰くんにウィンクを飛ばして、得意のかわいい笑顔で席についた。


テンションハイな由宇ちゃんは、自分の短パン姿を想像して悲しんでいる昂汰くんのようすには、気づいていないようだった。





***




「何、アイツ。誘っといて遅刻かよ…」


「いいじゃん。別に」




約束の10時をはるかに上回って、もう11時になろうとしていた。


集合場所で待つのもなんだし、とあたしたちは近くのカフェで由宇ちゃんを待っている。




「昂汰の出番は13時だろ。大丈夫なのかよ」


「なんとかなるっしょ」




あたしは携帯を見ながら気長に待つつもりだ。



松本は、頼んだジュースのすでに半分を飲み終わっており、ほどんどが氷というところだ。




「マジでアイツまだなわけ…。梅澤はなんとも思わないわけ?」


「…松本ってさー…」




あ?と松本は視線を送ってきた。



< 20 / 200 >

この作品をシェア

pagetop