近距離ロマンス
あたしは昂汰くんの腕を組んで、歩き出した。
昂汰くんは、ハテナを浮かべながらも抵抗するようすは見せなかった。
「ちょ、ちょっと!」
後ろで由宇ちゃんの抗議の声が聞こえる。
由宇ちゃんの声も聞くつもりはなかったが、人ごみに流されて、戻るのはきっとむりだろう。
松本に対する態度、どうすればいいかわかんないよ…。
あたしたちがアトラクションに乗ることはなかった。
木陰でベンチに座ってあたしたちは流れるひとを眺めていた。