近距離ロマンス
まっすぐ向かってくる松本から目をそらせず、あたしは鼓動がやけに早いのを感じた。
「恋、ねぇ。俺もがんばってみようかな…」
「え?」
「ん、がんばってね」
昂汰くんが人にまぎれたとき、松本がひざに手をついて呼吸を落ち着かせていた。
どんだけ走ってきたんだよ、ばか。
「梅澤…」
「松本」
松本は大きく息を吸い込んで吐いた。
それからベンチに座ったあたしを見た。
まじめな真剣な目だった。