近距離ロマンス
「あーっ、ありがとうございます」
あたしが落としたのは四人でおそろいのキーホルダーだった。
よかった、見つけてくれて。
ペコと頭を下げて、歩き出そうとしたのだが。
「え」
「あ、梅澤咲良ちゃんだよね?」
腕をつかまれ、軽く引き寄せられる。
拾ってくれた優しいお兄さん(しかもかっこいい)の声が耳元で響く。
「えと、どうしてあたしの名前知ってるんですか…ね」
つかまれた腕ははなされることなく。
あたしは足元を見ながらお兄さんに話しかけた。