近距離ロマンス
「バスケしない?」
昂汰(こうた)くんが、一本の指でボールを回転させた。
そのとなりには松本がいる。
あたしのとなりには由宇ちゃんがいる。
あたしたちは仲良しの4人組なんだ。
男だとか女だとか、関係なしで仲良しなんだ。
いい友達、いい仲間。
それがあたしと松本の…、あたしたちの関係なんだ。
「するするーっ!」
由宇ちゃんが手を挙げて昂汰くんたちに近寄った。
今は放課後。夕日になって、オレンジ色になった時間があたしたちのメインの遊び時間だ。
お金持ちの昂汰くんちのバスケットゴールが遊び場だ。
「負けたチームがジュースおごりね。いつもどーり」
いつもどうり。
あたしたちはここでバスケをするのがいつもどおりで、ジュースをかけて戦うのがいつもどうり。
2対2で、あたしのチームが松本なのも、いつもどうり。