近距離ロマンス




「バスケしない?」



昂汰(こうた)くんが、一本の指でボールを回転させた。


そのとなりには松本がいる。


あたしのとなりには由宇ちゃんがいる。



あたしたちは仲良しの4人組なんだ。


男だとか女だとか、関係なしで仲良しなんだ。

いい友達、いい仲間。



それがあたしと松本の…、あたしたちの関係なんだ。




「するするーっ!」



由宇ちゃんが手を挙げて昂汰くんたちに近寄った。


今は放課後。夕日になって、オレンジ色になった時間があたしたちのメインの遊び時間だ。


お金持ちの昂汰くんちのバスケットゴールが遊び場だ。




「負けたチームがジュースおごりね。いつもどーり」




いつもどうり。


あたしたちはここでバスケをするのがいつもどおりで、ジュースをかけて戦うのがいつもどうり。




2対2で、あたしのチームが松本なのも、いつもどうり。

< 9 / 200 >

この作品をシェア

pagetop