【完】復讐の元姫
ガチャッと勢いよく扉を開ける。
寒空の下、別に特別綺麗な場所じゃない。
ボロい校舎の屋上だっていうのに、麗は絵になるから怖い。
いつもそうだ。
麗は、どこでも絵になる。
だからこそ、シオがいなくても平気な感じがして困る。
「騒がしいな、凌」
揺らがない美形。
でも、鋭い視線が俺を捉える。
その瞳に、前みたいな哀しさは滲んでいなかった。
……やっぱり。
「汐乃は」
「なんか転校生の案内頼まれてた。
俺は成績やべーから担任に却下されたし、代わりに沙和付けてある」
「そうか」
きっと。
アイツがひとりだったら、自分が行くとでも言いだしたはずだ。