【完】復讐の元姫



屋上を出て、はぁとため息をつく。



今更、こんなこと思っても口には出せないけど。



“本当にシオは、俺等を裏切ったのか”



あの子のここ最近の行動を見れば、どうやったって俺等を裏切ったようには見えなかった。



「……昼で終わるかな」



徹のことを、調べて。



それから、シオのこともきちんと調べ直さないといけない。



もしかしたら、彼女は本当に裏切ってないのかもしれない。




あの時。



『ごめん、ね……っ』



シオは涙目でそう言って、倉庫を飛び出した。



そこに彼女が戻ってくることは、もうなくて。



でも、シオは一言も“裏切った”とは言ってない。



もし、本当にあの子が裏切ってないのだとしたら。



俺等は、とんでもないことをしてる。



裏切ってもない子を、姫から外したことになる。



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