【完】復讐の元姫
「ん、」
そっと、彼に近づく。
ベッドの横に座って彼の手を握れば、熱くて。
「……ごめんね、麗」
私のせいで熱出しちゃったんだよね。
とりあえず熱でも計れたら良いけど、残念ながら今は寝てるし。
洗面所に向かって、持ってきたタオルを濡らす。
部屋に戻って、それを彼の額に乗せた。
「、」
冷たさに、彼が少し顔を歪めて。
たぶん、彼のこんな姿見れるの私や奈々ぐらいなんだろうな。
彼は、弱いところを見せてくれないから。
「………」
だからこそ、気高いのに。
私の目の前にいる麗には、そんな余裕なんてどこにもない。