【完】復讐の元姫



「ん、」



そっと、彼に近づく。



ベッドの横に座って彼の手を握れば、熱くて。



「……ごめんね、麗」



私のせいで熱出しちゃったんだよね。



とりあえず熱でも計れたら良いけど、残念ながら今は寝てるし。



洗面所に向かって、持ってきたタオルを濡らす。



部屋に戻って、それを彼の額に乗せた。




「、」



冷たさに、彼が少し顔を歪めて。



たぶん、彼のこんな姿見れるの私や奈々ぐらいなんだろうな。



彼は、弱いところを見せてくれないから。



「………」



だからこそ、気高いのに。



私の目の前にいる麗には、そんな余裕なんてどこにもない。



< 127 / 392 >

この作品をシェア

pagetop