【完】復讐の元姫
麗が手を伸ばして、自分のスマホに触れる。
小さく震えるそれは、誰かからの着信を知らせていて。
「沙和?」
そう相手に尋ねる麗は、本当にいつも通りだった。
「……(ばか)」
外されたボタンを、緊張のせいか震える手で止める。
立ち上がって、彼が完食してくれたうどんの入っていたお皿を流し台に運ぶ。
「ちょっとはマシになった。
薬飲んだら寝る」
どうやら沙和から、体調が大丈夫かどうかの連絡が来たらしい。
「汐乃?」
「え?」
「……分かった。変わる」
麗がスマホを手渡してくるから、それを受取って。
耳に当てれば、沙和の楽しそうな声が聞こえた。
『どう?シオ。
ひさしぶりのふたりきりは』