【完】復讐の元姫
俺等を裏切った、あの女のこと。
そして。
今でもあの女に引っ付いて、俺等の方へなかなかやって来ない時雨。
どっちにもイラつく。
今デートしてんだろ、どうせ。
……別にデートにイラついてるわけじゃねぇけど。
そう思って、ため息をつく。
──もし。 たとえば。
……ありえねぇけど。
俺が時雨みたいに、素直だった、ら。
「……(アイツ、は)」
俺にも、優しく笑いかけてくれたんだろうか。
俺の知る限り、アイツは時雨といるときしか笑わない。
クラスの違う時雨が、アイツの席に来た時だけ。
それを自分と置き換えては、何度も落胆した。
バカ、みたいだ。