【完】復讐の元姫



そう思って始まったケンカ。



汐乃の前で実際にケンカするのは、初めてだから。



汐乃はぎゅっと目を瞑っていた。



凌は、奈々の元でアイツの腕を縛っていた縄を外してやっていて。



「シオ……」



凌は、ぼんやりと。



シオの縄を解いてやっていた。



まるで、感情の抜けた人形だ。




「麗……」



きゅ、と。



はだけていたらしい服を握って、汐乃は心配そうに俺を呼んだ。



大丈夫だ。



絶対、俺は負けねぇから。



「これで最後だ」



──お前がいるなら、俺は負けたりしない。



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