【完】復讐の元姫
目の前に見知った背中が見えて、声をかけようとするけれど。
「……(かけて、いいのか?)」
俺は、今。
どちらかといえば、奈々といる。
だからといって、シオが裏切ったという話もまだ信じられない。
でも、想いも消えない。
「シオ」
悩んだ末。
声をかければ、シオは一瞬肩をびくつかせて振り返った。
「凌……?」
「お前、校内勝手にうろつくなって沙和に言われたんじゃねーのかよ」
……沙和と、時雨は。
シオとクラスが違うこともあって、ずっと傍にいるわけじゃない。
その隙を見て抜け出したのかもしれねぇけど。
龍錬花が仲間割れしてる今は、勝手にうろつくなと言われてるはずだ。