【完】復讐の元姫
「でもまぁ、奈々ちゃんに直接聞くわけにはいかない」
「……そーだな」
「で、俺はどうしてもひとつだけ文句が言いたい」
「……は?」
「直球に言えば幹部全員で、一発ずつ麗を殴っても良いんじゃないかと思ってる」
「いや、何言い出すの沙和ちゃんー!!」
怖いんだけど。
あれ、でも、目が……本気……!?
「あのさ、麗」
「冗談だよ」と言った沙和ちゃんが、麗くんを呼ぶ。
相変わらず美形な彼は、下げていた視線だけを沙和ちゃんに向けた。
「……なんで黙ってるのかなって、俺は思ってるよ」
「なんのことだ」
「誤魔化すの?
麗、本当は2年前から知ってたんでしょ」
「………」
「奈々ちゃんが裏切り者だって知ってて、でもシオが裏切り者だということを否定しなかった」