【完】復讐の元姫
BLACK*5
:一時の幸せ
ふわ、と。
まるで夢の世界にいるような感覚に陥る。
それが、少しだけ怖くて。
朧げな明かりに、手を伸ばしたとき。
「、」
優しくその手が、何かに包み込まれる。
その何かを、確認しようと意識がはっきりとしてきたとき。
「麗……?」
私の手を握ったのは、彼の手だということに気がついた。
「ん。はよ」
「お、はよ」
状況が掴めない。
私彼の腕の中で泣きじゃくって、それで。
「ここ、」
「俺の部屋」
どうやら眠ってしまった間、私は倉庫にある彼の部屋に連れてこられたらしい。