【完】復讐の元姫
それなのに、奈々には。
「冷めてんな」
「何がだ」
異様なぐらい、執着がない。
一応付き合ってるみたいだが、アイツの時みたいにベタベタしてない。
むしろ、ベタベタしてるのは奈々の方だ。
「お前、奈々のこと嫌いなのか?」
聞けば、麗は小さく自嘲気味に笑ってみせた。
「嫌いじゃないな」
その割には、冷めすぎてるだろ?
「でも、」
でも?
「汐乃(シオノ)ほど、好きじゃない」
ドクッ、と。
心臓が、嫌な音を立てた。