【完】復讐の元姫



それなのに、奈々には。



「冷めてんな」



「何がだ」



異様なぐらい、執着がない。



一応付き合ってるみたいだが、アイツの時みたいにベタベタしてない。



むしろ、ベタベタしてるのは奈々の方だ。



「お前、奈々のこと嫌いなのか?」



聞けば、麗は小さく自嘲気味に笑ってみせた。




「嫌いじゃないな」



その割には、冷めすぎてるだろ?



「でも、」



でも?



「汐乃(シオノ)ほど、好きじゃない」



ドクッ、と。



心臓が、嫌な音を立てた。



< 20 / 392 >

この作品をシェア

pagetop