【完】復讐の元姫



「この間、連れ去られたとき」



あの、時?



「……ちょっと、だけ触られたけど」



そりゃあ、元々は私を襲うのが目的だったらしいから。



……今でも少し、怖いけど。



「どこ触られた?」



「え、」



「汐乃」



どこって、はっきりとは覚えてない。




だけど。



「だ、いじょうぶ。

首筋ぐらい、」



だから大丈夫、と言おうとしたのに。



彼が首筋に唇を押し当てたせいで、思わずそれも呑みこむ。



「嘘つくな。汐乃」



……なんで、バレるの。



「汐乃」



< 202 / 392 >

この作品をシェア

pagetop