【完】復讐の元姫
距離を詰めたかと思う、と。
「っ、」
抵抗する間もなく、彼の唇が自分の唇に重なる。
公衆の面前なのに、と思いながらも抵抗しない私は彼に甘い。
後ろで、下っ端の子たちが私たちを見て「お似合いですよー」とはやし立てるから。
「麗、恥ずかしいからあんまり人前でしないで」
「別に良いだろ」
「恥ずかしいんだって」
麗は私の耳元に唇を寄せた。
「見せつけてるに決まってんだろ」
「っ、な……」
「また明日。おやすみ」
顔を赤くする私を余所に、そう言う彼。
ほんと、ずるい。
「また明日ね」
車に乗って、彼等に手を振る。