【完】復讐の元姫
「……ちょっと、考えさせて」
返事なんて、出来ない。
そう言った私に、ハルトは何も言わなかった。
「到着致しました」
「……ごめん、ちょっと考えたいことあるからひとりにして」
もうハルトは仕事終わってくれて良いよ、と彼に告げる。
「……わかりました」
お休みなさい、と言った彼に「おやすみ」と返す。
部屋に向かってすぐ、ベッドに倒れ込んだ。
「……な、んで」
ただ、私は。
「……っ、」
麗が、好きなだけなのに。
涙が溢れて、視界が滲む。
涙を拭うことなくジッとしていたら、突然スマホが震えて。
相手を見ないままに電話に出れば、優しい声が聞こえて涙が止まらなくなった。