【完】復讐の元姫
沙和の言葉に、「うっ」と詰まる梨緒。
……確かに、みんなも教えてあげないといけないんだけど。
梨緒があまりにも出来ない、ということで、私は梨緒につきっきりだ。
「早く終わらせてあげて。
凌も聞きたいことあるみたいだから」
「はぁい」
頑張るね、と再び問題集に向かい始めた梨緒。
それを横目に、もらったばかりの缶を開ける。
気付かないうちに冷えていた指先は、缶の熱で温められていた。
「そういえば、シオ。
麗ってどこ行ったか知らない?」
ふと。
沙和にそう尋ねられて、顔を上げる。
「麗?部屋じゃないの?」
「そう思ってたんだけど、行ったらいなくて。
倉庫出ていっちゃったのかな」
「でも、麗がいたら誰かがさすがに気付くと思うけど……」