【完】復讐の元姫
名残惜しそうに窓の外から視線を外した麗は、俺より先に屋上へと上がっていく。
俺もそれに続いて、錆びた重い屋上の扉を開けると。
「麗、凌。遅かったね」
「奈々ちゃん、もっと早く来てたのに~!
なんかあったのー?」
「そうだよ、ふたりとも。
奈々、心配したんだよ?」
先に来ていた沙和、梨緒、奈々に声をかけられた。
「なんでもない」
麗はそれだけ言って、いつもと同じ席に座る。
その隣に、王様の隣に、座るのは奈々で。
でもそこは、元々アイツの席で。
全員が座っても埋まらない、時雨の席。
アイツと、時雨は──……。
考えるだけで、嫌になる。
時雨が、もし。
本当にアイツと、付き合ったら。