【完】復讐の元姫
【side沙和】
バン!と勢いよく、扉が開いて。
「麗……っ」
「どうした?汐乃」
泣きそうな顔をしたシオが入ってきたかと思うと、麗に抱きついた。
幹部室はいちゃこらするところじゃないですよー。
なんてね。
「これ、っ」
シオが差し出した紙を麗が確認したかと思えば。
「これ、どうした?」
麗が片手で彼女の頭を撫でながら、俺に紙を渡してきた。
これ、って。
「毒蛾と、決戦の日……?」
「奈々が、電話してきたの……。
メモしてって言われたから、したけど」
シオの表情は少し青ざめていて、「大丈夫」とはさすがに言えないぐらいだ。
……怖いん、だろうね。