【完】復讐の元姫
小さく頷いて、彼の手を握る。
麗は私の頭を反対の手で撫でてから、車を降りた。
あのね、本当は。
まだまだ言いたいこと、たくさんあって。
でも全部言ったら、お別れみたいに感じるから。
だから、あえてたくさん言いたいこと残してあるんだって。
「俺から離れんなよ」
車の周りに停まるバイク。
たくさん停まってるのに、車の前には1台も停まっていなくて。
「うん」
それに少しの違和感を感じながらも、彼と繋ぐ手に力を込める。
今日の彼は、“特攻服”姿で。
それが余計に、私を心配させる。
……たぶん。
このあと、何が起こるのか。
本当の意味でわかっていたなら、私は彼をあの場所に向かわせたりなんて。
きっと、しなかった。