【完】復讐の元姫
【side沙和】
周りは、真っ暗なのに。
俺等がいるこの場所だけは、明るい。
「やっと来た」
ポツリと目の前で、呟かれる。
今、1番全員の視線を浴びているだろう男は。
「まだ、開始時間じゃないからな」
「随分、強気なモンだね」
「負けるつもりはねぇよ」
不安そうな彼女の手を、しっかり握っていて。
そのことに、少し安堵した。
「どんな目的でお前等が汐乃を連れて来いって言ったのかは知らねぇけど」
「………」
「コイツは俺のもんだからな」
渡さねぇよ、と。
彼女を自分の背後に隠すようにして、俺の隣に並んだ。