【完】復讐の元姫
作戦では、俺等幹部と下っ端が一瞬だけ細い道を作って。
麗が指示を出したと同時に、シオを連れて後ろに下がる。
そんな作戦だったのだけれど。
俺等のところにいないってことは、成功してるんだろう。
すぐに道は塞いだため、シオと麗の元へはそう簡単に辿りつけない。
「……面倒だから、殺(や)っちまおうか」
そのセリフで、一気に動き出す。
一応、指示した作戦は頭に入っているだろうけど。
「総長がいないみたいだから、代わりに君たちが相手してくれる?」
「……2対1でいいならね」
「んー、まぁ。俺総長だし?
君ら、副総長と幹部でしょ」
余裕だよ、と目の前の男がつぶやいて。
“来る”
そう感じて隣にずれた瞬間、俺がいた場所には男の拳があった。
周りに漂う、鉄の匂いと鈍い音。
シオのことは、アイツがちゃんと護ってるはずだから。