【完】復讐の元姫
「シオ!」
後ろから名前を呼ばれて、振り返れば。
それぞれ少し傷をつけた幹部が、私の元へやってきた。
傷を見るだけで痛々しくて、胸が痛む。
「なんで?帰ったんじゃなかったの?」
「奈々に、言われて」
「……そっか」
麗は、と視線をさまよわせた沙和は。
「……なんで麗が、そっちにいるわけ?」
「詳しいことはあとだ」
「意味わかんない」
「……汐乃のためだ」
「………」
何も言わなかった沙和は、少し私を後ろに隠して。
「なんのつもりなのかな、奈々ちゃん」
「…私は、シオが嫌いなだけ」