【完】復讐の元姫
思わず、奈々に視線を向ければ。
「お兄、ちゃん?嘘でしょっ?
その女に惑わされてるだけ、っ……」
「俺は、汚いことに手を染めたお前のことはもう好きじゃない」
奈々の、お兄ちゃんって。
「そ、んな」
……ハルトの、こと?
「どういうこと、なの?ハルト」
説明して、と言えば。
彼は「前に、」と仕方なく口を開いた。
「……好きな子がいたと、言ったじゃありませんか」
「……うん」
「あれは血の繋がらない妹の奈々です。
元々、俺も奈々も同じように金持ちの子どもで生まれましたけど」
仲良くなって、自然と付き合うようになったんです。と、彼は言ったあと。
「……俺に母親はいません。
そして、俺の父親が再婚した相手が、偶然にも奈々の母親だった」