【完】復讐の元姫
さっき来る前に買ってきた温かい飲み物を差し出せば、喜んで受け取ってくれた。
……そういえば。
「奈々が、クリスマスイブにした理由聞いたんだけど」
「あ、そうなんだ?なんだったの」
「……親が再婚したのが、イブだったんだって」
ふたりにとって幸せな記念日は、地獄の日になった。
だから、イブにしたらしい。
「……そういえばさー、シオちゃんと麗くんクリスマスにデート出来なかったねぇ」
「だけど麗、なんかもらったって言ってなかったっけ?」
「シオが指にしてるリングも、麗からのプレゼントでしょうに」
……騒いでくれるのは、全然良いんだけど。
「……みんな、明日が大晦日ってことわかってる?」
「あ、早く帰って大掃除しなきゃダメだね」
「たくさんお料理作るからねー、麗くん」
早く戻ってきてね、と。
騒がしかったみんなは、一瞬で帰ってしまった。