【完】復讐の元姫
:手を伸ばせば
【side麗】
静かな、倉庫の中に入れば。
勢いよく耳に届く、クラッカーの音。
……高校生のくせに、ちょっとガキっぽいよな。
「退院おめでとうございます~っ、総長~!!」
「ああ」
「もう怪我の方は大丈夫なんですか!?」
「……ああ」
適当に、答えながら。
幹部が寄って来たと、思えば。
「麗、シオは?」
沙和の言葉に、思わず「え?」と聞き返した。
「え、シオと一緒じゃないの?
シオ、麗と倉庫向かうからって連絡あったんだけど」
「は?昨日帰るとき、汐乃はここで待機してるっつってたぞ。
今日は1回も会ってねぇよ」
だから、早く会いたくて急いで来たのに。