【完】復讐の元姫
旦那さまからの指示で、婚約は絶対。
それに加え、俺からすれば彼女は好きな女。
手に入れるための手段なんて、いくらでもあるけど。
「……そうか。でも、」
彼の瞳から、甘さと柔らかさが消える。
そして、冷たい色のその瞳は、俺を見据えた。
完璧に俺は、彼の敵だ。
「汐乃は、渡さねぇよ」
「……どうでしょうね」
愛は勝つ、的な感じの展開はドラマやアニメの世界だ。
この世界は、彼女の感情なんて必要ない。
そう思う俺は。
彼を傷つけた妹と、結局は同じかもしれない。
あんなこと言ったくせに、自分も同じか。
「汐乃は、俺の女だ」
その言葉には揺らがない自信があって。