【完】復讐の元姫
どこからそんな自信来るんだって、思うけど。
「……私も、お嬢様をそう簡単に手離せないので」
──正直、驚いた。
巨大な暴走族の組織の頂点に立ってる男。
ナメてるわけじゃなかったにしても、だ。
2年前のこともあって、お嬢様にそこまで執着がないのかと思ってた。
それが、今の瞳は。
どう考えたって。
「ごめんね、遅くなって。麗」
本気の、“瞳(め)”だった。
「……別にいい」
「ふふ、麗ってば眠いの?」
「……お前の方が、寝不足じゃないのか」
彼のその言葉にハッとして顔を上げる。
お嬢様が、寝不足?
もし本当にそうだとしたら、それにさえ気付いてあげられない俺、は。