【完】復讐の元姫



「え、べつに、」



「メイクで隠しても無駄だからな」



「っ……」



「無理すんな、っつってんだろ」



彼が腕を伸ばして引き寄せたために、お嬢様がその中に収まった。



「無理はしてない、けど」



でも、麗が心配で寝れない。とつぶやくお嬢様。




「別に、命が危ないわけじゃねぇだろうが」



「だけどっ、あの日を思い出したら寝れない……」



奈々がつけた傷は、彼だけじゃなく。



お嬢様の中にまで、刻み込まれてしまったらしい。



少しの間、黙った彼は。



お嬢様を優しく抱きしめたかと思うと、頭をそっと撫でて。



「怖かっただろ。

怖い思いさせて、悪かった」



「麗……」



このとき。



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