【完】復讐の元姫



確かに、思った。



“お嬢様は、彼と結ばれるべきだ”と。



「……お嬢様」



彼の腕の中で涙目になってるお嬢様に、声をかける。



涙を堪えるために返事できないのか、代わりに彼が俺に視線を向けた。



「私は外で、お待ちしていますね」



コクコクと、彼女がうなずく。



病室の外に出る寸前、お嬢様は彼に抱きついていた。




その姿を見つめる彼の瞳は。



甘さだけじゃなく、優しさや柔らかさも孕んでいた。



きっと、彼は。



「……汐乃」



「ん、」



「愛してる」



お嬢様がたとえ、自分の元を離れたとしても。



ずっと彼女のことだけを、愛し続ける。



そんな気がした。



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