【完】復讐の元姫



──だから。



「……40分」



お嬢様の、5年という留学のあと。



彼が未だにお嬢様のことを好きだったら、潔く離れると決めた。



時計を見れば、お嬢様と別れて40分。



結末を確かめるため、お嬢様に電話を繋げば。



『もし、もし?』



「お嬢様」



『ハルト、あのね…っ』




その声の調子だけで分かりますよ。お嬢様。



何年一緒にいたと思ってるんですか。



「……私は帰りますね。碓井に」



『ハルト、』



「奈々に会ってから、またこっちに来ます。

お嬢様、今日は帰って来られないんでしょう?」



『う、ん』



声から、嬉しさが滲み出てる。



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