【完】復讐の元姫
* * *
「……ほんと、ありえない」
俺に背を向けた汐乃が、ボソッとつぶやく。
「嫌がってなかっただろ」
「嫌がる間もなかったでしょ」
そう言う汐乃は、振り向いてくれない。
まぁ、俺が悪いわけだけど。
「汐乃、こっち向けって」
「やだ」
「汐乃」
「やだ。絶対やだ」
「……汐乃」
「やだってば」
そう言って振り向かない汐乃は、本気で怒ってるらしい。
でも、そんな汐乃を後ろから抱きしめても汐乃は怒らない。
汐乃の基準は、たまに謎だ。