【完】復讐の元姫
淡々とそう告げれば、彼女は「そうなんだぁ」と笑う。
「奈々は?」
「え?」
「普段、麗とデートしないの?」
言ってから、“しまった”と思った。
彼に向かって、麗と呼んだのはあの日が最後。
それなのに、思わず麗と言ってしまった。
だけど、それを誰も気にする様子はなくて。
「うーん、あんまりしないかなぁ。
麗、人ごみ嫌いだもん」
……昔から、麗はあまり外に出たがらなかった。
デートは基本、麗の家とか。
「そっか」
それだけ、答えた時。
ふと鳴り響く、私のケータイの着信音。
「シオちゃんの?」