【完】復讐の元姫



淡々とそう告げれば、彼女は「そうなんだぁ」と笑う。



「奈々は?」



「え?」



「普段、麗とデートしないの?」



言ってから、“しまった”と思った。



彼に向かって、麗と呼んだのはあの日が最後。



それなのに、思わず麗と言ってしまった。




だけど、それを誰も気にする様子はなくて。



「うーん、あんまりしないかなぁ。

麗、人ごみ嫌いだもん」



……昔から、麗はあまり外に出たがらなかった。



デートは基本、麗の家とか。



「そっか」



それだけ、答えた時。



ふと鳴り響く、私のケータイの着信音。



「シオちゃんの?」



< 33 / 392 >

この作品をシェア

pagetop