【完】復讐の元姫
麗が、何かを言いかけて。
でも結局何も言うことなく、抱きしめ返してくれた。
「わざとなら、迷わねぇのにな」
「うん?」
「いや、こっちの話」
優しい瞳で笑った彼が、すっと私の髪を梳く。
……ねえ、麗。
「あのね、麗……私。
いま、とっても幸せなの」
「ああ」
「麗と、ずっと一緒にいたい」
「ん、」
ちょっとだけ、背伸び。
「ずっと、一緒にいてくれる?」
ちゅ、と唇が触れ合う。
かかとが床について、彼を見上げれば、何やら不敵な笑みを浮かべて。
「迷うことなかったな」