【完】復讐の元姫



「数日前がどうした?」



私の上に覆いかぶさりながら不敵に笑う彼はもう、私の話なんてどうせ聞く気がない。



彼の一番近くにいるんだから、それぐらい理解できる。



「ばか」



「なんとでも言え」



「バレンタイン、あげないから」



「これから何年一緒にいると思ってんだよ」



「……勝手にしてよ、もう」



「当たり前だろ」




ずるいなって、思う。



どうせダメって言ったところで、受け入れないんでしょ?



でもね、それをわかっててダメっていう私も私かもしれない。



「汐乃」



彼にひたすら、溺れる中で。



「お前が一緒にいてくれねぇと、困る」



彼に囁かれたその言葉が、すこし前の質問の答えだったと。



知るのは、もう少し後のことだ。



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