【完】復讐の元姫

:White*Love




【side麗】



裏切った、と。



彼女に向かって発したとき、バカみたいに泣きたくなった。



それを貫くつもりで言ったそれ。



あのとき彼女が「やってないよ。何かの間違いだよ」って、泣き崩れたら。



突き放すこともせず、「ごめん」と素直に抱きしめてやっていたかもしれない。



まだ、隣にいたのかもしれない。




「麗?どうしたのー?」



「……いや、」



「そういえば今日、ホワイトデーだね」



別れて、約1年。



自分の隣に別の女がいることに、笑えた。馬鹿らしい、アホらしい。愛してると彼女だけに囁いてきたのは、一体なんだったのか。



そんな自問自答を繰り返したところで彼女が隣に戻って来てくれるとは、到底思えない。



「ん、これ」



「えっ、もしかしてお返し……?」



本当は、何をするにも、汐乃を一番にしてやりたかった。



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