【完】復讐の元姫



そして、やっと。



「なぁに、麗。

くすぐったいし、料理中だから離れて?」



彼女が俺の元へ、戻ってきた。



本当は何度も諦めようとして、でも好きで諦められなくて。



一生汐乃しか愛せないかもしれない──いやでも、汐乃を裏切ったんだからそれぐらいの報いは受け入れられる。



なんて、そんなことを考えていたときだった。



あの日、総会があった1月、彼女が戻ってきて。



言わねぇけど、本当はすげー嬉しかった。




「構って」



彼女を後ろから抱きしめ、肩の後ろの方に顔をうずめる。



「構ってって言われても、料理中なの」



「……知らねぇ」



「ちょっと、麗」



ぱちんと、コンロの火を消す。



振り返った彼女に、口づけた。



< 352 / 392 >

この作品をシェア

pagetop