【完】復讐の元姫
そして、やっと。
「なぁに、麗。
くすぐったいし、料理中だから離れて?」
彼女が俺の元へ、戻ってきた。
本当は何度も諦めようとして、でも好きで諦められなくて。
一生汐乃しか愛せないかもしれない──いやでも、汐乃を裏切ったんだからそれぐらいの報いは受け入れられる。
なんて、そんなことを考えていたときだった。
あの日、総会があった1月、彼女が戻ってきて。
言わねぇけど、本当はすげー嬉しかった。
「構って」
彼女を後ろから抱きしめ、肩の後ろの方に顔をうずめる。
「構ってって言われても、料理中なの」
「……知らねぇ」
「ちょっと、麗」
ぱちんと、コンロの火を消す。
振り返った彼女に、口づけた。